なぜ遺言を書かなければいけないのか

続財産をめぐる争いは、年々増加して、平成16年には遺産分割事件は1万件にもなりました。全国の公証役場で作られる遺言公証事件は6万7千件と増加の一方です。民法が定めた法定相続分では適切な相続に対応ができないと言うことでしょう。法律は遺言によってそれぞれの家庭の事情にあった相続分を定めることができると言っているのですから、あなたの意思を明示し、次の世代に正しく伝え相続財産をめぐる争いを防ぐようにしたいものです。

特に遺言が必要な場合

  1. 夫婦間に子供がいないとき夫婦間に子供がない場合は、遺言なしで相続が始まると、妻が4分の3、残りの4分の1は兄弟姉妹が相続することになります。妻に全てを相続させたいと考えれば、遺言が必要です。
  2. 息子の妻に財産を残したいとき夫の両親の遺産については、全く相続権がありません。夫に先立たれた妻が、夫の親の面倒をどれだけ見ても、子供がなければ、遺産は全て亡くなった夫の兄弟姉妹が相続します。貢献に報いるためには遺言が必要です。
  3. 先妻の子供と後妻がいるとき後妻が相続人になるため、先妻の子との協議は法定相続分ではなかなか解決がつきません。紛争を避けるには遺言が必要です。
  4. 内縁の妻がいるとき戸籍上に登載されていないだけで、内縁の妻には相続権がありません。事実上の妻には遺言しておくことが必要です。
  5. 相続人が全くいないとき特別な事情がない限り、財産は国庫に帰属します。世話になった人や、寄付など本人の思いを伝える方法は遺言しかありません。
  6. その他事業などをしていて、特定の人に相続させたい場合や、特定の財産を特定の人に相続させたい場合、相続権のない孫などに相続させたい場合は、遺言するしかありません。
遺言は方式が定められております、折角の遺言も無効であっては意味がありません。正しく作成するためには、情報を漏洩させないためにも守秘義務のある専門家への相談が有効です。